人生100年時代を見据えた口腔機能の維持と回復

   

近年、医学の進歩や健康志向の高まりにより、平均寿命が伸び「人生100年時代」という言葉が浸透してきました。
より長く健康で生きるためには、身体全体の健康維持だけでなく、口腔機能を保つことも重要です。
食事を楽しみ、会話をするためには歯や口の健康が欠かせませんし、さらには全身の健康とも密接な関係があるからです。
今回は、100年生きる時代において、なぜ口腔機能が重要なのか、そしてどのように維持・回復していくべきかを考えてみましょう。

 

1. 口腔機能と全身の健康の関係

口腔機能は単に「食べる」「話す」という事にとどまらず、全身の健康にも深い影響を及ぼしています。
例えば、歯や歯茎の健康が損なわれると、口腔内に炎症が生じることがあり、この炎症が全身に影響を与え、糖尿病や心疾患、さらには認知症といったさまざまな病気のリスクを高めることが指摘されています。
特に、歯周病菌が血流を介して体内に侵入することで、動脈硬化や心筋梗塞を引き起こすリスクも報告されており、口腔の健康がいかに重要かがわかります。

また、口腔機能が低下することで噛む力が弱まり、食事がしにくくなると、栄養が偏りやすくなります。
噛むこと自体も脳への刺激となり、認知機能の維持に役立つとされています。
このように、口腔機能の低下は食事や栄養、さらには脳の健康にも影響を与えるため、100年時代においては意識的にケアを行う必要があるのです。

 

2. 歯を失わないための予防とケア

歯を失わないためには、日頃の予防とケアが欠かせません。
具体的には、毎日の歯磨きやデンタルフロスを使ったケアが基本です。
歯科医院での定期検診も、予防ケアの一環として非常に重要です。
歯周病や虫歯は初期段階では自覚症状が少ないため、定期的にプロフェッショナルによるチェックを受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。
日本では、歯科医院での定期健診が広まってきてはいるものの、まだ全体の受診率は高くありません。
健康寿命を延ばすためにも、口腔ケアを生活の一部として取り入れていくことが求められます。

 

3. 口腔機能のリハビリテーション

歯を失ってしまった場合や、加齢によって口腔機能が低下してしまった場合、リハビリテーションによって機能の回復を目指すことが可能です。
リハビリテーションの方法には、嚥下(えんげ)機能訓練や咀嚼(そしゃく)訓練、さらには義歯の装着による補綴(ほてつ)治療などがあります。
嚥下機能が低下すると、食べ物が喉を通りにくくなるだけでなく、誤嚥(ごえん)による肺炎のリスクも高まります。
これは、高齢者にとって特に致命的な合併症の一つです。
そのため、嚥下訓練や咀嚼訓練を通じて、飲み込みや噛む力を維持・強化することが、健康寿命の延伸にとっても重要となります。

また、最近では、舌のトレーニングも注目されています。舌は食べ物を口の中で移動させ、飲み込む役割を担っていますが、年齢とともに筋力が衰えるため、トレーニングで維持することが推奨されています。
簡単にできる舌の体操としては、舌を前後に出し入れする「舌出し体操」や、口内で舌を回す「舌回し体操」などがあり、自宅で手軽に行うことができます。

 

4. デンタルインプラントや義歯の活用

歯を失った場合、デンタルインプラントや義歯(入れ歯)を活用することも選択肢の一つです。
インプラントは、人工の歯根をあごの骨に埋め込むことで、自分の歯のようにしっかりと噛むことができる治療法です。
一方で、インプラント手術には費用や時間がかかることがあり、また、全ての人に適しているわけではありません。そのため、義歯やブリッジといった補綴装置も広く利用されています。

最近では、インプラントや義歯も機能性だけでなく、見た目も自然に近いものもあり、見た目や噛み心地においても満足度の高い物が作られるようになってきました。
義歯やインプラントは、歯がある状態を再現することで、栄養摂取の改善や社会的な交流の機会を増やし、生活の質を向上させるためにも役立っています。

 

5. 口腔機能の維持には生活習慣も重要

口腔機能を健康に保つためには、日常の生活習慣も重要なポイントです。
例えば、バランスの取れた食事を摂ることで、口腔内の環境が整えられ、健康的な歯や歯茎を維持しやすくなります。
また、喫煙や過度の飲酒は口腔内の健康に悪影響を及ぼし、歯周病や口腔がんのリスクを高める要因となります。
そのため、禁煙や適度な飲酒の心がけも、口腔機能を保つうえでの大切な生活習慣の一つです。
さらに、十分な睡眠やストレス管理も口腔の健康に貢献します。ストレスは唾液の分泌量を減少させ、口腔内の乾燥を引き起こし、細菌が増えやすくなります。
唾液は口腔内の自浄作用や、食べ物の消化を助ける役割を担っているため、唾液の分泌を促進する生活習慣を意識することが大切です。

 

おわりに

人生100年時代において、口腔機能の維持・回復は健康寿命を延ばすための鍵となります。
日頃のセルフケアと、歯科医院でのサポートを活用しながら、長く健康な生活を送るために口腔の健康を保つ努力を続けましょう。
口腔のケアが全身の健康にもつながり、食べる喜びや会話の楽しみを失わないために、口腔機能の大切さを今一度見直してみてはいかがでしょうか。

 



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