インプラントの注意点
- インプラント治療をした日からインプラントを利用する仮歯
- 仮歯専用のインプラントを最初から行いそれを利用した仮歯
- 周囲の歯・歯ぐきを利用した仮歯
・周囲の歯を削らずに接着する
・いわゆる入れ歯を用いる
インプラント治療の留意点
チタン製インプラントが骨の中に埋め込まれ長期間にわたって使っていけるためには、いくつかの留意点があります。
骨にダメージを与えない事です
骨形成時の発熱が一番の骨へのダメージです。
47℃以上で1分間あるいは一瞬でも50℃以上に加熱されてしまうと、骨細胞が変性して良好な骨結合が得られません。そのために処置中は発熱しない様に冷却した生理食塩水の十分な注水が必要です。
装置内部に付随したものだけでなく十分に冷えた生理食塩水を別に用いています。
骨形成時には鋭利な切削器具を用いる必要があります。
生物学的な研究により適切な回転数と回転トルクが器械によりコントロールされています。
そしてもちろん技術と知識が必要です。
インプラント以外の異物の混入
インプラントが手術器具(ステンレス製)に触れますと鉄イオンがインプラントに吸着し、5年以上経過の後にその触れた部分に錆びを生じて骨との結合を失ってしまうといわれています。
インプラントに触れる器具はチタン製の物を用います。
感染防止
感染を防ぐために清潔な部屋で行う必要があります。解放された場所ではなく緊張するかもしれませんが、きちんと扉がしまる専用の部屋の方が清潔な状態を維持しやすいのは誰しもが想像できる事だと思います。
使用する器具や手術に関わるスタッフも十分に消毒をし、滅菌されたオペ専用着を着用して感染源を絶ちます。
患者さんは当日、お口の中のクリーニングを約30分程度行います。
治癒期間
骨質の状況に応じて治癒期間を決定します。基本的には下顎で4ヶ月、それより骨質の軟らかい上顎では6ヶ月必要とします。
ただし、現在では手術時にインプラント安定指数(osstell)を計れる器械もありますので、治癒期間が短縮されたりなかには歯を入れたりできる方もいらっしゃいます。
具体的には下顎の総入れ歯の方や上顎1本の歯の方はその日のうちに歯を入れられることが多いです。
治療中の日常生活
仮歯(TEK)
インプラント治療後、すぐに最終的な歯(上部構造)が装着されないことがほとんどです。
そのような方達のために仮歯を装着することができます。特に前歯の場合、歯がないまま過ごすことは、とても苦痛な事になりますので、大事なことになります。
仮歯にもいろいろ種類があります。
それぞれ、利点・欠点がありますので、患者さんの希望に合わせた仮歯を用いることができます。
※奥歯の場合、仮歯を必要としない患者さんもいらっしゃいます
インプラントの適応症
適している方・適さない方
高齢の方も若い方も、インプラント治療は可能です(男20歳・女18歳以上)。
ただし成長期の方は、骨が成長しているため適しません。
歯を失った方への治療ですから高齢の方に行われる機会が多くなります。
高齢の方はいくつかの慢性的な病気を持っている事が多いので注意が必要となります。
高血圧の方
安定されている方ならば、主治医と連絡をとり行うことができます。
糖尿病の方
安定されている方ならば、主治医と連絡をとり行うことができます。
安定していない方は、感染に対する抵抗性が低下しているので行えません。
骨粗鬆症の方
薬を飲まれている方もいますので、主治医との連携をとりながら正確な診査が必要です。
狭心症・心筋梗塞の経験のある方
狭心症発作後3ヶ月、心筋梗塞発症後6ヶ月以上経過してから外科処置すなわちインプラント手術は行います。
必ず主治医の助言が必要となります。
血液の流れを良くする薬を飲まれている事が多いので、出血に対しては注意が必要です。
インプラント安定指数
オステル測定とはインプラント(フィクスチャー)の安定状態を数値で客観的に示すものです。共振周波数を測定しコンピューター処理します。そしてISQ値として表示されます。高い数値は安定性が高いと言えます。
もともと100%のインプラント治療(オステオインテグレーション・骨結合)を得るために、開発されました。インプラント手術中に安定が良くない時に客観的に予後が思わしくない事を教えてくれる物として、研究されました。
オステル(Osstell)測定は、インプラントへの負荷時期を判断するのにとても有効です。
そして歯を即日に装着できる科学的根拠の一つとしても、用いられています。